F.M.N. SOUND FACTORY

e-mail: info@fmn.to

ガセネタの荒野

Posted on | 2011.08.07 | No Comments

ハラカミさんの急死で、今さらここで何を書くことがあるのかわからなくなり告知以外はしばらく書いてませんでした。
ハラカミさんの死に関してはユザーンさんのこれが全てです。これ以上のことは誰にも言えません。

亡くなると思ってなかった人の死に向かうと(お通夜もお葬式も行けなかったので向かってはいないが)もう死んでしまった人のことばかり考えてしまう。

そんなときに注文していた故大里俊晴さんの著書「ガセネタの荒野」が届いた。92年に発行された大里さんがベーシストとして参加していた「ロック」バンド、”ガセネタ”の時代を書いた私小説と言っていい赤裸々な話。

発刊当時は登場人物が全て実名、しかもあまりに赤裸々な事実が大里さんの主観で語られているためいろんなところで反感(公式な抗議はなかったように思う)を買った曰く付きの小説だ。それが今年ガセネタの10枚組ボックスという(4曲しか持ち曲がないバンドが10枚組だ)クレイジーきわまりないリリースと共に今年復刊された。

最初に言うがガセネタのメンバーとは殆ど話したことはない。おまけに見たのも再末期のドラムが佐藤さんの時だけだ。ドラムの佐藤さんだけは親しくさせてもらった。「マイナー」後もウチに泊まりに来たこともある。しかし佐藤さんの主宰していたピナコテカ・レコードが立ちいかなくなった責任の一端は明らかに自分にある。委託で預かっていた分の支払いをしなかったからだ。たとえ数万でもその責任は思いと思ってる。

大里さんは一度も言葉を交わしていない。山崎晴美氏ともほとんどない、数度タコの時につまらない話題(合法的に手に入る薬を勧めたことがある程度)をした程度。浜野君とは何度か話したことがあるがそう深い話はしていない。

しかし数度しかみていない「ガセネタ」の衝撃は、今に至るまで尾を引いている、いや、おそらく「ガセネタ」を見さえしなかったら、こんなことはしていなくてすんだ。

初めて見た「ガセネタ」のことははっきり覚えてる。

椅子に座ったベーシストが太く重いけどワンパターンのリズムをひたすら弾いている、ドラムは何が楽しいのかニコニコしてこれまたひたすらタイトなリズムを刻んでる。ヴォーカルは訳の分からないことをわめきながら痙攣してのたうち回ってる、比喩なんかじゃない、本当にのたうちまわってたのだ。会場(吉祥寺「マイナー」)に転がっていたウィスキーのボトルをヴォーカリストがアンプの端でたたき割る、その破片がドラムのところの飛んでいくのをニコニコしながらかわし、全く何事もなかったかのようにドラマーはたたき続ける。

しかし一番衝撃だったのはギターだ。

なにか「全て」を獲得しようとしていると思った。多分その獲得しようとしている「全て」は弾いている本人にもわからないだろう。「全て」を獲得できるとも本人も多分思っていない、でもその「全て」を獲得するためにのたうち回ってる(これも比喩ではない)、負け戦と分かってるのに、しかも何が戦かも分からないのに、目指しているモノが何なのか分からないはずなのに指先から血を吹き出しながら演奏し続けていたギタリストのその音は、とんでもなく「せっぱ詰まった」ものだった。

後にも先にもあんなギターは聴いたことがない。

「ガセネタの荒野」から無断だが引用しよう。これ以上、浜野君のギターを言い表した言葉はないと思うからだ。

「どうして一本のギターから、六本しかない弦から、十本しかない指で、彼があんな音を引き出すことが出来たのか今でも不思議で堪らない。」

「ガセネタの荒野」のことを書こうと思ったのに「ガセネタ」のことになってしまった。すこし時間をおいて続きを。

「ガセネタの荒野」は青臭いところもあるけど、小説としては素晴らしく面白いはずです。ただノン・フィクションだしね。でも読むのにつらいところもある。当時のことを知っているが決して当事者でない人間だけに。

Comments

Leave a Reply






  • CDを購入
  • 新譜情報

    大友良英サウンドトラックスVol.0

    FMC-044 定価(税抜1000円、税込1050円)
    発売日;6月12日(土)
    シリーズ・リリース予定の大友良英サウンドトラック集第一弾として緊急リリースのミニ・アルバム。
    続きはこちら

    MABOROSHI/ 石橋英子&Gianni Gebia&Daniele Camarda

    FMC-043 定価2100円(税込)2000円(税抜)
    発売日;2009年7月24日(金)
    石橋英子がシシリアのサックス奏者GianniとベーシストDanieleと3人でフランスで録音した1枚。歌とピアノとサックス、ちょっと変わったベースで不思議でpopな世界を作ってます。

    ラブジョイ/あの場所へ

    FMC-042 定価2625円(税込)2500円(税抜)
    発売日;2008年12月7日(日)
    ラブジョイ4年ぶりの新作!
    たくさんの方からコメントをいただいています。全文はここで
    コメントをいただいた方々は、中川五郎、鈴木祥子、勝井祐二、直枝政広(カーネーション)、原マスミ、オニ(あふりらんぽ)、ピカ(あふりらんぽ)山本精一、須原敬三(ギューン・カセット)、白崎映美(上々颱風)、pocopen(さかな)、西脇一弘(さかな)、伊藤せい子(夕凪)、林いずみ(名古屋得三スタッフ)、安田謙一、渕上純子(ふちがみとふなと)、田村武(p-hour)、船戸博史(ふちがみとふなと)、水島博範(京都磔磔)、宮武希、中野直志(吉祥寺マンダラ2)、たるたにさとし(ぱぱぼっくす)(順不同)の各氏です。

    大友良英+山本精一ギター・デュオ

    OTOMO YOSHIHIDE YAMAMOTO SEIICHI GUITAR DUO
    FMC-041 予価2200円(税抜)2310円(税込)
    全4曲入り(轟音フィードバック・デュオと静音フィードバックデュオの2曲、そしてアコースティック・ギター・デュオの2曲)
    アコースティック・ギター・デュオは広いスタジオ内を両名が歩きながら演奏、それを定位置のマイクで録音。
    9月28日(日)発売
    二人のデュオは今後、ライヴ集3枚組(予定)、曲中心のスタジオ録音集、と続きます。

    キャラバン

    FMC-040 定価:2100円 (税抜2000円)
    発売日:9月28日(日)
    70年代の終わりを駆け抜けた、幻のダブ、レゲエ、ファンクバンド「キャラバン」
    多くのミュージシャンにショックと影響を与えた衝撃のライブ音源が、今よみがえる!!
    コメント(抜粋)全文はここで