ずっと僕らはアホでした。

昨日のHMV渋谷店での非常階段インストア・ライヴ、盛況のようでしたね。
来月早々に発売される非常階段結成30周年記念本「非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE 」。


この本がとてもおもしろい。とは言っても70年代末期から80年代初めにかけての話は、自分も当事者の一人として話に登場しているので客観的には読めないが。

それでも相当面白いのは、非常階段がなぜ30年以上も続いているのか、そのことが読めばよくわかるし、また「変わらない」ことや「変わっていく」ことがどういう意味を持っているのか、とてもよく分かる。つまりノイズ・ミュージックに関することだけでなく、人が何かをやり続けていくことが一体どういう意味を持つかよく分かる良質のドキュメンタリーになっていると思う。

だからノイズに興味のない人でも、とても面白く読めると思いますよ。

本にも書かれているけど、非常階段がセンセーショナルなパフォーマンスをやっている頃、実は避けていた。
センセーショナルな行為が大向こう受けをねらっただけのはったりにしか思えなかったからだ。

ごく初期は非常階段のPAもやったこともあったのにね。

というわけで3年ほどご無沙汰の後、これも本に書かれているが西部講堂でのスター階段(スターリン+非常階段)の時に久しぶりに再会したのだ。

その時に舞台袖でメンバーの岡君がイトミミズと納豆を混ぜているのをみて「何するつもりなん?」とつい聞いてしまった。
非常階段のライヴ前にそう言う準備をしていて「何すんの?」という質問も愚問だけど、普通に考えたら「何すんの?」だよね。

その時の岡君の返事が「決まってるでしょ。食べるんですよ!」。満面の笑顔で答えられた。

その時の顔が忘れられなくて。

岡君は、また本にも書いてあるけどガラパゴスというバンドをやっていた非常にセンスのあるドラマーだった。あんなにセンスのあるドラマーがなぜペンキかぶったりミミズ食ったりしてるんだという悔しさみたいなものもそれまであった。

しかしその時の笑顔は、ああ岡君は本当に好きなことをやってるんだな、決して大向こう受けをねらったはったりなんかじゃなく本当にこれをやりたかったんだ、とそう思わせるに十分だった。

その時から非常階段に対するもやもやした気持ちは一掃された。

でもね、どっちにしてもアホですよ。ものすごいアホ。

美川君のツイッターで
>非常階段本のタイトル、「あの頃僕らはアホでした」の方が良かったのではと一瞬思ったりもしたが、パクリなのはともかく、今の自分らが当時のじぶんらに上から目線、はないわな、と思い直す(直さなくても、何もありませんが)。< とあった。 確かに。でも「あの頃」ではないよ。ずっとアホです。 昨日のHMV渋谷店でも広重君が最後「今度おしっこするから」でお客さんが「うぉ〜!」となったらしいけど50才過ぎたおっさんの放尿宣言に「うぉ〜」ですよ。アホきわまりない。 非常階段がアートにもならず、ずっとライヴ・ハウス・シーンでやっていった結果がこれだ。思いっきりアホです。30年間ずっとアホです。なんと素晴らしいか。

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